●監督 清水恵蔵インタビューQ:『新釈 眞田十勇士』の企画はいつ頃、プロデューサーの田原さんからお話を聞かされましたか?もう10年ぐらい前だと思うんですが、確か(『銀河英雄伝説』の)2期と3期の間だったと思います。田原さんから話を伺って、当時、すぐにキャラクターを描いてみたんですよ。今回の設定も、実はその時に描いたものが土台になってますね。で、突然、去年(2003年)の夏とか秋に、前の企画をやりたいと、改めて今回の話しがありました。 Q:(日本の)時代物を手掛けられるという事で、抵抗感等はありましたか?実はもともと時代物が好きで、若い頃は「さいとうたかを」とか「小島剛夕」なんかの劇画を模写してたぐらいなんで。それに『神州魑魅変(しんしゅうすだまへん)』[1989・徳間ジャパン]など時代モノはいくつかやった事が有りました。なので抵抗感は全然なく、むしろ、今回のお話しをきいて「これはやりたい! 」と思いました。 Q:ちょっと意外なお話しでしたが、そうすると『銀河英雄伝説』と『新釈 眞田十勇士』の決定的な違いはなんでしょうか?アクションですね。(先行スペシャル版の)後半の1/3(約15分)は、ずっと合戦なんで、アクションに費やしています。実はこのアクションシーンを描くのに手間をかけてやっているんです。なんというんでしょうか、ちゃんと(動きの)段取りを追って描いてるんですね。例えば、槍で相手を攻めるシーンでは、ただ槍を突くだけではなくて、手首を返して、相手の剣をとり、そこで(突かずに)槍尻でパシーンと打った瞬間、次のアクションに行ってる。 Q:そういったアクションを描かれる際に参考にされた他作品(アニメ、映画)はありますか?あまり他のは見ないようにはしていますが、黒沢明の『隠し砦の三悪人』『影武者』『乱』を改めて見直したんですが、やっぱり、さっき僕が言ったような、段取りを追ったアクションをちゃんとやってるんですよ。もちろん実際に(刀で)斬ってる訳じゃないのに、斬ってるようにみえる「リアルさ」が有るんですよ、黒沢作品には。 Q:『新釈 眞田十勇士』では「リアルさ」を描かれる?
出来る限り史実に忠実に、リアルに描こうと思っています。例えば、舞台となっている上田城に実際にロケハンに行っています。行くとその場の「空気感」が伝わるんですよ。ここに山があって、川があって、陽は山のどの辺りに沈むのか?といった位置関係がよくわかる。 Q:それはすごく楽しみですね。お話しは変わりますが、最近のアニメはセルから、デジタル化に進んでいますが、なにか技術面で新しい事や、面白い試みをしていますか?例えば、千曲川から上田城までカメラがパンしていくみたいなデジタル処理はしているんですが、今回の要でもあるアクションは、実は、基本的に2Dです。手で描いてるんですよ。ゲームなんかもそうですけど、3Dでつくったのは生命感が無いと思うんです。やっぱりアクションが違えば、ひとつひとつ全部描かなきゃいけないんですよ。実際の絵とは違っても、作画で多少デフォルメした方がインパクトがあるし、雰囲気とか、肌触りなんかは手描きの方が伝わる、と僕は信じています。 Q:『銀河英雄伝説』からのファンの方が一番関心有る事だと思いますが、(監督の描き方で)『銀河英雄伝説』と共通する点があれば教えてください。キャラクターがね、要は眞田十勇士達がヤン艦隊なんですよ、佐助と幸村はユリアンとヤンです。まぁユリアンより多少明るくて、迷ったり、悩んだりはしますが・・・。 上田城とは別にもうひとつ「戸石城」というお城があります。そこに幸村が詰めていて、徳川方に居る兄貴(眞田信幸)が攻めて来たら「やめたって」帰るんですね。これって、まるっきりイゼルローン要塞放棄の時と変わらないんで。(対峙する)位置関係も徳川軍が右、上田城の眞田が左。これは帝国軍と同盟軍の位置関係ですよ。『銀英伝』を知っていて眞田を御覧になるとテイストがよく似てると思われることでしょう。このキャラは誰々とみなさんで置き換えてみて下さい。 Q:あくまでも個人の主観で結構ですが、今回の『新釈 眞田十勇士』で好きな、もしくは思い入れのあるキャラクターはありますか?また監督がこの作品を通じて伝えたい事も教えてください。結局佐助なんですよ。物語の後半に、幸村が佐助を関ヶ原の合戦に、物見として派遣します。佐助は参戦しないで、関ヶ原を最初から最後まで見続けるんです。 |